東京JAZZ2006（東京国際フォーラム ホールA）
チック・コリアと上原ひろみをお目当てに初日夜の部の‘PIANO NIGHT’を聴きに行ってきた。
ちょっと遅れて入場するとちょうど上原が登場するところだった。今夜もリラックスした表情で代表曲をたて続けに披露していった。表情は柔らかくてもプレイは気迫十分、お得意のテクニカル・プログレッシヴ・チューン‘XYZ’から全開だ。集中力を漲らせて真剣に演奏しているのが手に取るように伝わってくる。生ピアノの柔らかさが活かされていた‘SPIRAL’と、中華風音階のシンセ音が耳を刺激する‘RETURN OF KUNG-FU WORLD CHAMPION’のコントラストも絶妙。この2曲を続けて演るのは面白い。遊び心に富んだ楽しげな‘THE TOM AND JERRY SHOW’とラストの‘LOVE&LAUGHTER’には心が和んだ。テクニックを十分に駆使した激しさを伴う曲と、音楽を愛する心を表現した柔らかな曲と、両方の面から彼女の演奏を楽しむことができるようにセットリストが組まれていたのだ。でももっと長くやって欲しかったなー。続きはワンマンに期待しよう。
トリで登場した大御所・チックコリア。今夜はトロンハイム・ジャズオーケストラとのコラボレーションだ。このトロンハイム・ジャズオーケストラ、全く予備知識ナシで初めて聴いたのだが管楽器20名弱のメンバーから成るなかなか面白いバンドで、曲によってソロを執る楽器が入れ替わり、そのフィーチュアのさせ方がウマい。チックのピアノプレイは円熟味を感じさせるしっとりとした具合でどちらかというと引き立て役に回っていたのだが、それでもソロになるとさすがチック・コリアと誰もが唸ってしまうような気の効いたフレーズを連発していた。鍵盤を操る10本の指にはピアノの神が宿っているかのようだった。そしてラストに誰しも聴きたかったあの曲、、、‘SPAIN’を演らないわけがない。懐かしい気分にさせてくれるあのイントロを聴いただけで胸が躍る。。。軽やかなタッチとすんなり耳に入ってくるメロディ、これがチック・コリアの弾く‘SPAIN’だった。曲の中盤でメロディを観客に歌わせるという面白い演出も加えられていて、ここまでのビッグネームであるからこそ音楽を楽しむ姿勢といいものを大事にしているものなのだと深く実感してしまった。予想していた感じとは若干違ったものの、こういうのもありだね。
■ 上原ひろみ ■
１、XYZ ２、SPIRAL ３、RETURN OF KUNG-FU WORLD CHAMPION ４、THE TOM AND JERRY SHOW
５、LOVE&LAUGHTER
■ チック・コリア & トロンハイム・ジャズオーケストラ ■
１、SUITE No.2 ２、DUENDE ３、CRYSTAL SILENCE ４、WINDOWS ５、MATRIX ６、EXTRA：SPAIN
