大槻ケンヂ『ゴスロリ幻想劇場―大槻ケンヂ短篇集』

ゴスロリ幻想劇場―大槻ケンヂ短篇集

ゴスロリ幻想劇場―大槻ケンヂ短篇集

ゴシック&ロリータバイブル誌で連載されていた短編をまとめてさらに書き下ろし数話を加えた、今までのオーケンの小説にありそうでなかった毛色の作品が出版された。
本書に納められた短編それぞれに共通な特徴は、1話毎のボリュームはわずか数ページ、主人公はみな不必要にヒラヒラのついたゴスロリファッションに身を包んだ10代の麗しき(例外アリ)乙女である。文体からは江戸川乱歩からの影響が(意図的にそうみせたのだろう)強く感じられ、ロマンチックで非日常的な、かつ、お得意のオカルト・アングラ臭の漂う、彼にしか書くことのできない面白い物語が見事に並んでいる。人間の持つ光と闇のコントラストが秀逸に描かれているのだ。心霊現象やUFOネタ等を巧みに織りまぜ、他所では嗅ぐことのできない匂いが強烈に読み手を刺激してくれる。
特に印象深いのは「戦国バレンタインデー」、「爆殺少女人形舞壱号」、「奥多摩学園心霊事件」、「東京ドズニーランド」このあたりか。心に闇を抱えた不器用で取り柄もない少女がわずかな、しかし確固とした正義や希望を胸に生きていく様に夢中になってしまった。現実のイマドキの乙女たちが本当にこうなのかどうかはわからないが。
ゴスロリ専門風俗店の『七曲町子』」、「ステーシー異聞・再殺部隊隊長の回想」、長編の続編が掲載されているのもファンとして嬉しい。
筋肉少女帯及び特撮の歌詞とも連動してる物語も多いし、読みやすい作品なので作家大先生・大槻ケンヂの入り口としてもお勧めできる短編集だ。


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