劇団、本谷有希子第10回公演『無理矢理』(吉祥寺シアター)

作・演出 …… 本谷有希子
舞台監督 …… 宇野圭一+至福団
出  演 ……  高田聖子(劇団☆新感線
          菅原永二猫のホテル
          辻 修(動物電気
          吉本菜穂子
          富岡晃一郎
          初音映莉子

私にとって最近なぜだか気になる存在の本谷有希子、2作読んだ小説はヘタクソで本当につまらないと思った。しかし、どこか心の中に無視できない分子を残してくれる魔性の女だ。この劇団の芝居を観るのは初めてで、もし面白ければ今後も彼女に注目し続けようと思っていたし、逆につまらなければ綺麗さっぱりオサラバしよう、本谷という存在をジャッジするそんな気持ちを胸に遠い遠い吉祥寺まで出かけた。できたばかりなのかピカピカの会場、天井が高く客席の傾斜が急で観やすそうなイメージ。なかなかの好感度。しかも席は最前列。14時開演。
風変わりな古屋敷に住む未亡人とそこに間借りする者たちのそれぞれの生き様を描いた奇妙奇天烈な舞台だ。未亡人は毎日ひたすら脚立に跨り屋敷の改築を続け、引越してきたばかりの若夫婦の間には修復できない微妙な亀裂があり、目の不自由な童話作家の行動はどこか不可解で、父娘が住む部屋からはの香りが漂ってきた…、そんな異様な人々が一つ屋根の下に集まってしまったらどうなってしまったのか。。。


高田聖子は妖艶で美しく、狂っていた。それと同時に吉本菜穂子初音映莉子の演技も良かった。笑いを含めてストーリーを膨らませながら進行する前半部、登場人物それぞれの異常性を強調しシリアスに流れる後半部、どっちも見ごたえがあった。複数の場面が並列に進行して展開は複雑だがどのキャラも独自のインパクトが強いせいかキチンと頭の中で整理することができた。



混乱しまくる屋敷内、誰の言うことが本当で誰の言うことが妄想なのかさっぱりわからなくなる。自分の都合のいいように考えるだけの奴ら、どうすべきかわからなくなる。収集がつかなくなる。もう投げ出したくなる。なにもかもがイヤになる。



強引な結末。



こんな奴らは最後にうまく収める必要などまったく無いし、何が真実で何が嘘で何が妄想なのかなんてのは観る者それぞれが無理矢理自己解決すればいい、それだけの話だ。
見ごたえたっぷりで息詰まるの2時間強、飽きてきたり無駄に思える部分など一秒もなかった。






怯ちゃん、アナタ最高。