そしたら文学賞を貰った〜♪

グランド・フィナーレ

グランド・フィナーレ

阿部和重芥川賞受賞作「グランド・フィナーレ」、本日読了。緊張しながらじっくりと読んだ。前作の「シンセミア」が重量感満載な大長編だっただっただけに、今作はボリュームも文体も軽く感じてしまって肩透しな感じだ。孤高さや力強さがなくなってるのはワザとなのかな?基本的に主人公の主観文の比重が高いせいか感情移入しづらくてアカの他人の日記を読んでいるような気分だった。前半はなかなか面白かったが、後半部分の展開の弱さには不満だ。読後の満足感というものは薄い。それでも使われている言葉はいつもの「阿部ワールド」、性、欲望、悪、男、女、映像、戦争、時事問題、etc…言葉の使い方はすごく上手いと思ったし、表現の仕方や細かい言い回しなんかはさすが阿部和重と思わず頷いてしまう部分もあった。ただ、受賞をきっかけに読んだ人はどう思ったのだろうか?他にもっと面白くて奥の深い作品がたくさんあるのに、今後これが彼の代表作と言われ続けるのかと思うと、納得がいかない。もしかしたら阿部の作品の中で最も難解なものなのかも…。


Yという男がロシアの話題に拘ったのは何の伏線だったのかさっぱりわからなかった。わかっている方、いましたらぜひ教えて下さい。