<liquid surprise>〜町田康グループVS特撮

待ちに待った今日だ!自分的に新年初ライブだ!ミュージシャンで作家・大槻ケンヂが伝説のパンクロッカーで芥川賞作家・町田康とガチンコ対決する時がついにやってきた!!


今日も寒かった。最近ずっと土日に限ってやたら寒いような気がする。何を着ていくか考えてみた。スリムな黒のパンツと黒のパンクっぽいTシャツにしよう。でも入場してから寒かったらやだな。中に死神EDDIEがプリントされたIRON MAIDENのロンTを着ることにしてみた。全身真っ黒じゃないか。クリス・アモットばりにデスメタルな気分だ。イイ感じ。

恵比寿まで出る前にまず腹ごしらえを。こういう時に何を喰うかってすごく重要だと思うよ。ね?思うよね?ね?少し遅い時間の昼食はうどん。うどん。町田のライブの前に喰うったら、これしかないでしょ?しかもなか卯鶏塩うどん。これ最強。はな○るうどんなんて目じゃねーっつーの!ツユが薄い塩味で蕎麦派のアナタにでも食べやすいメニュー。具はコロリとした鶏肉と葱。美味かったよ。和食は奥が深いね。今日はなんだかいいことがありそうな気がした。
恵比寿を通り過ぎて渋谷をちょっとブラブラする。財布を買おうかとマルイを覗く。ゴルチェとポール・スミスのでけっこういいなと思うのがあったのだが、前者は客観的にみるとヤ○ザっぽいし後者はなんかありきたりで結局買うのはやめた。また今度ね。ルノアールとネットカフェで時間をつぶした後、壮絶な人混みをくぐり抜けて山手線で恵比寿へ向かった。

18時10分頃会場到着。できたてホヤホヤのLIQUIDROOMに初めて入った。とりあえず階段を延々と上らなくても済んだので一安心。鉄骨造二階建のシンプルでオシャレな建物だ。駅からも近くて便利。1階にも2階にも広々としたロビーがあって居心地がよい。都会のせせこましさを気にせずにライブ前にゆったりできるのはいいことだ。いつもどおりのいかにも特撮のライブな雰囲気だった。よく見る顔、メタラー、パンクス、オタク、ヒキコモリ、「ロッキン・ホース・バレリーナ」の七曲町子のようなゴスロリもいる。ドリンクカウンターでハイネケンを受け取ってから正方形なフロア内を覗いてみた。新宿にあった時よりもちょっと狭くなった?気のせいかも。壁が真っ黒だからそう見えたのかもしれん。作りは新宿時代の色合いを随所に残しつつも斬新なライブスペースを演出したって感じか。っていうか、床がコンクリートになったこと以外はほとんど変わっていない。センターラインの柵まであってオドロキ。中央後方にPA卓がある。これから特撮やZIGGYさんの本拠地はここになるのね。好きだよ、新生LIQUIDROOM



HPで告知されていたとおり、先に登場したのは特撮。エディ三柴復活初ライブだ。夢中で前のほうに詰めていったらオーケンの目の前4列目くらいのポジションにたどり着いた。若干痩せたようにも見えるエディーの幻想的なピアノソロに続いて1曲目は「身代わりマリー」。世紀の文豪対決に相応しい名曲だ。やはり町田先生を意識しているのかオーケンはいつもよりもテンションが高い。力みすぎなほどだ。狂人のような目で絶叫しまくっている。いいね!感情がこめられてると客としても楽に引っ張ってもらえる。しっとりとメロディアスなパートもパンキッシュでテクニカルな早弾きも耳を傾けずにはいられない病み上がりとは思えないいつもどおりに超絶技巧なピアニスト・エディ、今日は一段と丁寧なギタープレイのNARASAKI、シンバルのキレがよくて表情豊かなドラマー有松、このバンドの楽器隊はやはりスゴスギルぞ…。フロアは最初から大盛りあがり、飛ばしまくりの絶頂状態!適度に背中を押されて心地よい。。。
「水天宮と多摩センター」、「特撮のテーマ」、「エレファント」、「キャラメル」、「オム・ライズ」、「アベルカイン」、「企画物AVの女」、「ヨギナクサレ」、「パティー・サワディー」、「ジェロニモ」、「バーバレラ」、以上、曲順は全く覚えていないが一曲一曲内容の濃い演奏はいままでにないほどに最高だった。まさか演ってくれると思っていなかった「水天宮と多摩センター」が印象深い。聴きたかったのだよ、この曲を〜!まず詞がすごく好きだ。間奏部のピアノとスラップベースのカラミがカッコイイ。文化少年オーケンだけだね、この世でこんな曲を歌ってサマになるのは。今後も演り続けてもらえればうれしいな。終盤に近づくにつれオーケンはますますヒートアップ。凄まじい形相で観客をにらみ魂を振り絞るかのように独特の雄たけびをあげた。狂ってない?大丈夫かな?見ているほうが心配になるくらいに入り込んでいる。毎回こういうライブを演ってくれれば言う事ナシだね。すごいぞ、特撮!次のライブも行くよっ。


続いて町田康グループの登場だ。著書はほとんど全て読んでるし、INUのCDは持っているし、自分の生活にとって欠かせないアーティストなのだが、恥ずかしながらライブで彼の歌を聴くのは初めてだ。他の特撮ファンもみんな暖かな目で彼のステージを見守りたいようだった。声援が暖かいんだもん。素直に応援したいのが伝わってきた。今日来てた特撮のファンっていい人が多いね。それで、まず思ったこと。第一印象。FIRST IMPRESSION。町田先生って、こんなに小奇麗なお方だったんですか!?黒のパンツに爽やかな白のトレーナー。日曜日に愛犬と戯れる若いパパのようでした。ダメ人間の絶望的でつまらない日常をミクロな視点でユーモラスに描く「作家・町田康」と伝説の「パンクロッカー・町田町蔵」のイメージを勝手に引きずってました。すいません。。。ジョニー・ロットンみたいに痙攣しながら歌うのかと思ってたら違った(笑)。寡黙でとても謙虚なお方でした。満員の客に対して照れていたのか、なかなかフロアを直視しない。目が前髪に隠れている。古き良きブルースベースのR&Rを基調として、バックのメンバーの力量もかなりのものでアレンジもバラエティに富み初めての者でも飽きさせないサウンドだ。BASSISTはなんと元すかんちのSIMA-CHANG!顔はちょっとふっくらしてるものの、フリフリの衣装とレスポールベースは昔のままだ。顔立ちは優しそうでも、硬質な音でけっこう攻めていくBASSISTだった。MCはほとんど無く淡々とライブは進む。前半は知らない曲ばかりだった。意外にも歌詞がわかりやすい。もっと回りくどくて複雑なのかと思っていた。1回聴いただけでも強烈に印象に残る。使ってる言葉は簡単な日本語だけれど、組み合わせがすごく上手くて、考え抜かれた緻密なモノであった。著作の中と同様に日本語独自の言葉遊びと社会風刺、皮肉が持ち味であるようだ。
8曲目でビックリ!なんとうどんの中に鶏肉を入れてみようと歌っているではないか!?マジおどろいた。これがliquid surprise!?先生、昼のうどんに鶏肉入ってましたよ!鶏塩うどん、マイブームになりそう。。。そんなこともあってますます歌詞の中身に興味が沸く。。。彼の詞は個性的なおかつ意味が深い。込められているメッセージが濃いのだよ。すごいね!すごいよ!こういうのもロックだよ。ロックの歌詞になる日本語というものはもうある程度限界にきているのが正直現状であると思っていたが、、、、マチガイでした。さすが町田先生!普段何気なく使っている日常的な日本語の組み合わせでもこんなに刺激的になるものなのか。。。日本を話せる身であることにもっと誇りを持つべきね。我が母語はこんなに表現の幅が広いのか…。勉強になりました。。。まだまだいろんな可能性を秘めた言語だったんだ。。。可能性はうどんの中ある。。。長い人生でこういう感覚っていうのはハジメテ…。なんだか興奮して喉が乾いてビールを立て続けに飲みたくなった。袋小路を見事に突き破る、正真正銘のパンクロッカーだ。あーオドロイタ。。。それに加えてときおり関西弁を使うのもいいアクセントとして効いていたし、夫婦茶碗、うどん、するめ、ししゃもetc.っていう言葉が出てくると町田ファンとしてはもうタマラナイ〜!!後半はINUの曲を。こっちになると知ってる人も多いのか、フロアはさらに盛り上がる。
アンコールは町田グループが追悼の意を込めてしっとりと故・中島らも氏の曲を・・・。
全然関係ないけど、町田氏の歌を聴いているとなぜかDYNAMITE TOMMY氏が頭をよぎった…。関西人ロッカー様、マイリマシタ…。


衝撃を受けまくってフロアを後にした。物販で町田康の新作エッセイ「猫にかまけて」(なんと直筆サイン入り!)を購入(^^)。毛筆のサインがこれまたカッコいいんだー。来週末あたりからで読み始めよう。興奮が収まらずなかなか真っ直ぐ帰る気になれなかった。いいライブを見た後ってなぜかこうなってしまう。特撮VS町田康グループ、また是非!

■特撮■
1、身代わりマリー 2、キャラメル 3、水天宮と多摩センター
4、特撮のテーマ 5、アベルカイン 6、エレファント 
7、パティ・サワディー 8、企画物AVの女 9、ジェロニモ 
10、バーバレラ 11、オムライザー 12、ヨギナクサレ

町田康グループ■
1、夫婦茶碗 2、すっぽん○ 3、昔の話ばかりしてるアホ 4、頭が腐る
5、春子のほうがそら悪い 6、荒野の曲 7、はかりしれないアホンダラ
8、うどんの中 9、パンクロッカー 10、野菜喰ってゴーゴー
11、恋する君はチャーミング 12、淀川のX団 13、フェイド・アウト
14、気い狂て en1、KYOKO


猫にかまけて