岡崎藝術座 『リズム三兄妹』(こまばアゴラ劇場)


開演するとほぼ同時に、隣の席に座っていた30くらいの男が尋常じゃないほどの大きな音で腹をぐうぐう鳴らしまくっていた。約80分間ひっきりなし。病?それとも体内になにか飼育しているのか?と疑ってしまうほどに深く大きな音だった。狭いアゴラに響く響く。観劇前に軽くメシくらい喰えよな。まあ演劇だったからまだ許せた。もしこれが静かな映画やクラシックのコンサートなんかだったら、カネをふんだくってやったのに。客席の私と同じ列にはこないだハイバイに出演していた綺麗な某女優さんが座っていた。良い匂いがした。

作・演出:神里雄大


出演:白神美央、内田慈、億土点、鷲尾英彰、坂倉奈津子、召田実子、西田夏奈子


劇団初見。名前すら知らなかったところに内田慈(名前も顔もかわいい)と白神美央(名前だけがかわいい)の名コンビ(ポツドールなんかで共演済み)が出演するということで、アゴラまで観に行ってきた。動きのきわめて少ない前半部と物語が急展開してぶっ飛んじゃう後半部を上手く繋げた前衛色の強い舞台だった。何を訴えたいのか解らないような解るような抽象的なシーン度々あり、しかしこういうのは私はキライじゃないのだ。もちろん意図的なのだろう、、、役者それぞれの特性のようなものがキッチリと活かされていて、静かで解りにくいシーンでも飽きなかった。白神の独特のキャラを上手くみせたよなぁ。。。


ダラリとした平凡すぎる日常の表現から急展開!ショウコという恋する乙女を演じた召田実子という若い女優の演技が、物凄い壊れっぷりで驚き!若いのにすごい能力だ。セリフが入る入る。活きが良くてなにか弾け跳ぶような鮮烈なパフォーマンスだった。で、それからやっと内田慈が登場、「リズム3兄妹」の末娘の役だったわけだが、長いモノローグがあって、こちらも滅茶苦茶に存在感があって持ち前の器用さをたっぷりと発揮した素晴らしい演技を見せてくれた。もうすっかり小劇場界を代表する大女優なのだ。非の打ちどころナシ。彼女の演技からも生命感が溢れ出ていた。


で、作品の方はバイオリンの弾き語り(こんなの生まれて初めて見たw)があったり、他にも実験性のある(アゴラの舞台上手奥にエレベーターがあるとは…)色んな要素が含まれていてカラフルに仕上げられていた。誰が主役なのかよくわかんないし観ようによっては如何様にも観れるし、如何様にも楽しめる。そしてラストにしっかりしたオチがあってなぜかホンノリと心が温まる。前衛的な作品というものは楽しめない時はまったく楽しめないんだけれども、この作品はヨカッタよ。
岡崎藝術座、機会があればまた観たいかも。