石橋英子×アチコ 『サマードレス』


サマードレス

サマードレス


前作『ロラ&ソーダ』の衝撃から一年半、石橋英子×アチコの2ndアルバムが先日のレコ発ツアーで先行販売(一般流通は10月とのこと)された。‘マタドール’、‘PINO’、‘夜間飛行’etc.、、、昨年からLIVEで披露されているもうおなじみの曲が並んでいる。アルバムをとおして全般的にいえることは、石橋英子のピアノが前作よりもかなりシンプルになっていてあくまで歌をひき立てるのが第一条件なプレイになっていることだ。グロいコードや意表を突くフレーズは少ないが、なにより丁寧で心のこもった演奏なのでこれはこれでOKだ。
対してアチコの歌のほうはどうかといえば、透明感と抜群の声の伸びを活かした歌唱は前作を凌ぐほどにパワーアップしている。前作のように厭世的で陰のある曲よりも、ストレートめな曲が中心である作風もあってか、活き活きと歌うアチコの姿がまさに目に浮かぶような作品なのだ。
PINO’でドラムのビートを取り入れたり、他にもビブラフォンクラビネットハモンド・オルガンを駆使したりと、前作では見られなかった細かな色づけも今作の特徴だろう。曲間すべてに‘クラスメート’という心温まる遊び心(ふざけてるといえばふざけているだけだがw)を挿入したり、試行錯誤の様子は今作もなかなかのもの。しかし、そんなことよりも最も大切な、人の歌声で聴き手を魅了することに力が注がれているのが何よりも嬉しい。期待していたとおり、素晴らしいアルバムに仕上がっている。ルネ・マグリットのようなジャケットもかなり良い。曲数がもうちょっと多かったらなお嬉しかったのに。
ラスト3曲は大御所3名によるrimix。




88点。