新・岸田戯曲賞作家列伝 -70年代生まれの劇作家たち- 劇作家・演出家 三浦大輔(池袋コミュニティ・カレッジ)
池袋西武にあるコミュニティ・カレッジがポツドールの三浦大輔を迎えての講演会を開催してくれた。いまや飛ぶ鳥落とす勢いの劇作家の生の声が聞けるとは、これは嬉しい企画!
さっそく三浦が白水社の人と一緒に出てきてインタビュー形式で講演進めていった。まず育った環境や演劇を始めた経緯から。高校〜早稲田大学でのエピソードは初めて聞く内容だったから面白い。よく観ていた劇団はやっぱり大人計画かー。グロ〜い作風は野島伸司のドラマからの影響かよ。
それからポツドール旗揚げについて。旗揚げ公演から一作ずつ説明がなされた。第4回公演までは松尾スズキからの影響が色濃い作風で、第5回公演『騎士クラブ』から第九回公演『熱帯ビデオ』まではリアルさを極限まで追求した三浦独自の手法「セミドキュメント」が取り入れられいった。本人からの説明に加えて、当時の公演ダイジェストの上映、この「セミドキュメント」についてが講演の一番の見どころで一番時間を割いた部分である。出演者に役柄を与えるのではなく、プライベートまでを背負った一人の人間としてのナマの姿を舞台上で見せる作業の過酷さ、厳しさ、惨たらしさに客席は静まり返る…。ポツドールを観た後のあのどよ〜んとした雰囲気だ。虚構のなかにナマの現実を挿入するというえげつない方法からは、三浦の凄まじいまでの表現欲がありありと伝わってきた。きわめて生々しい。。。
「セミドキュメント」に限界を感じた後は、再び演劇的なフィクションの世界へと戻る。『ANIMAL』や『夢の城』では無言劇を演っちゃったりだとか、実験性や革新性は衰えることを知らず、試行錯誤を繰り返すなかで第13回公演『愛の渦』でついに岸田賞を受賞する。『激情(再演)』では本多劇場に進出、最新作の『顔よ』のインパクトはまだ記憶に新しいところだ。
えっ…!?と思ったのは三鷹で演った『人間♥失格』、、、伝言ダイヤルにハマったどうしようもない男の物語は、三浦自身のエピソードだってよ。ドン引きー。
こういう風に劇作家本人から作品について、表現についてを赤裸々に聞くというのは初めて体験した。三浦大輔は作品ごとに演りたいことがハッキリしているだけに、具体性があって説明は解りやすかった。これからの舞台がますます楽しみになってくるし、同郷からこういうすんごいアーティストが生まれたことも喜ばしいと思った。
- 作者: 三浦大輔
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 単行本
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