ハイバイ 2連発公演『プレビュー兄弟舟』(アトリエヘリコプター)

作・演出:岩井秀人
出演:永井若葉、田中伸一、内田慈、猪股俊明、坂口辰平、師岡広明(豚肉3カイキ)
    岡田昌也、黒田大輔THE SHAMPOO HAT)、金子岳憲


おかしなカツラを被った女ヤクザとその子分であるコワモテ男の仁義溢れる、しかしちょっぴりファンタジックでなんだかヘンテコなお話。
ハイバイを観るのは二度目になるが大体の雰囲気は前回観た時とほぼ同じ。会場は小さな工場だった建物をそのまま使ったようなオンボロの五反田アトリエヘリコプターだ。あまりにもステージセットがチープで大道具も芝居を行う必要最小限、通して雰囲気は薄暗く、そこに独特のシニカルさと諦めにも似た開き直り感が漂う。暗転がやたら多かったな。地味な風貌の岩井秀人という主宰はなにを考えているのかわからない、ある意味において不気味な男だ。

義理と人情溢れる極道の世界に生きる人間を情けなく、面白おかしく滑稽に描くという方向性はありきたりかもしれないがそれ自体としては嫌いではない。だが笑いを取る場面があまりにも寒々しかったのがこの作品の致命傷。登場人物がおかしな行動をとっても客席がシーンとしている状況はあまりにも痛々しかった。序盤から中盤へのもって行きかたは観客を作品に強く引き込むようにテンポ良く進んでまだよかったのだが、肝心の終盤で同じ内容のセリフが何度も繰り返されヤキモキさせられたし、だから何?といいたくなるようなただ奇妙なだけで効果の薄い展開に流れていったりして観ているほうが情けなくなってしまった。暗くてその上つまんないと眠くなるんだなぁ。大きな体の赤ちゃんが2名登場した時にはあまりの寒さに途中で帰ろうかと思った……。残念。



内田慈の演技が今回も良かったことだけが救いだ。特に最初の酔っ払っているシーンは最高だった。本当に素晴らしい女優だと思う。小劇場界の中でこの人の演技が一番好きかも。ただ、有能な分だけこの作品の中ではちょっと浮いてたかも。


ハイバイ、もしかしたら私はもう観に行かないかもしれない。面白くなるにはどうすべきかという意見(アンケート)を500円で買うというのはどういうつもりなのかしらないがなんだか馬鹿にされた気分がした。自分で考えるのが岩井秀人の仕事ではないのかい?
終演後にPPPPの小林高鹿を見かけた。