矢野沙織 初ベスト・アルバム「ジャズ回帰」リリース記念ツアー 矢野沙織 Tour Summer 2007「ジャズ回帰」〜JAZZ・スピリットの未来が見える〜（品川ステラボール）

PERSONNEL：矢野沙織(as)、後藤 浩二(P)、金子 健(B)、加納 樹麻 (Dr)

TV-CMのおかげもあって徐々に知名度も上がってきたか？若きサックス奏者・矢野沙織のベストアルバム発売記念・集大成的ライブ。
いにしえのJAZZの大御所についてわざわざ口頭で説明をしてくれて、それからそんなミュージシャンたちの曲をカバーして披露するという矢野沙織的JAZZ入門といった展開のショウだった。いつも話題に出るチャーリー・パーカーやジャコパスはもちろんのこと、ビリー・ホリデイ、マイルス、ジミヘンetc...、若いわりには幅広く色々聴き込んでいるようで、そこから何かを吸収しようとする音楽的に熱心な姿勢には好感が持てる。序盤はややたどたどしかった演奏も尻上がりに調子が出てきて、中盤の‘MILESTONE’や‘RED HOUSE’などでは彼女独特の艶のある綺麗な音色を武器に、広い会場にほぼ満員の観客に強いインパクトを与えていた。大柄で日本人離れしたルックスに反してプレイは女性らしくかなり繊細である。脇を固めるメンバーもなかなか良い役割を果たしていて、特に後藤浩二のリリカルなピアノは矢野の音とうまく共鳴して不思議な粘りのようなものを生み出していた。もちろん‘I and I’や‘Open Mind’やらこういう場には欠かせない定番曲でもいい演奏を聴かせてくれた。
客にもっともっと若い人が増えるように、スタンダードなJAZZを若者の日常に浸透させる役目のような、今の彼女にしかできないであろう重要なポジションを担うことができるようになればいいのだが、それは難しいだろうか。

矢野沙織 BEST~ジャズ回帰~(DVD付)