PANICSMILE 『rakuten:book:12022644:title』


BEST EDUCATION

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福岡出身のインディーズバンド・PANICSMILEの6thアルバム。作品の路線としてはCAPTAIN BEEFHEARTやCANの影響を受けた、前作までの流れに乗った常識破りのごった煮ハチャメチャロックなのだが今作はますます彼ららしい特徴(規則性に捕らわれない自由度の高いリズムや、耳を刺す分厚いノイズと変則コードと奇怪な単音フレーズを器用に組み合わせたツインギター)が色濃く出ている。革新的で実験性に富み、今まで誰も投げたことのないような魔球を生み出すかのようにバンド全体で積極的に新しいことに挑戦していく意欲には頭が下がる。
一見すると難解な要素に溢れているようだが、これがどういうわけかナチュラルに聴こえてかなり聴きやすい。複雑だとか難解だとかというよりもむしろ表現したいことをそのまま演ってみたら結果的にこうなったと理解できる、聴く者を不思議と納得させるアルバムである。魔球というものは強打者を打ち取りたいがためにある種の必然性をもって編み出されるものなのだ。アレンジの多様さからくるファンタジックなサウンドとは対照的に、全体を通してストレートな言葉遣いが多く感じされる歌詞の内容はきわめて具象性が高くさくっと作品の世界に入る込むことができる。吉田肇の聴きやすい声は自然な作風とうまくマッチしている。4人のテクニックは全くもって申し分ない。インディーズシーンでここまで難易度の高いことをやれるバンドはそうそういないだろう。そのうえ細かい部分まで神経と魂が通っていて客観的に見ても音楽としてレベルの高い愛着の沸く名盤である。最高傑作?といって差し支えない素晴らしい出来栄え!!


89点。