毛皮族のアングラ経験劇場@リトルモア地下『コーヒー&シガレッツ的な軽演劇』・演目D『OSOBA』(リトルモア地下)

作・演出:江本純子

出演:江本純子金子清文、和倉義樹、高野ゆらこ


キャパ50名の狭い地下室!桟敷席にザブトン!チケット代1800円(前売り)!3週間で演目は5種類!なんだこれは???映画『コーヒー&シガレッツ』(ジム・ジャームッシュ監督)よろしくお手軽でお気軽な軽演劇、仕事帰りにふらっと立ち寄る気分で原宿のリトルモア地下へ行ってきた。


上映時間約60分、敏腕女性雑誌編集者と謎の無職男と突然現れた少女とのあいだに巻き起こる失笑うけあいのチープドラマ。上演形態がどうであろうと毛皮族毛皮族。いつも以上にチープでおバカでどうしようもないプチ学芸会であった(笑)。お世辞にも面白いとは言えない脚本、ひねりがなく安易に決着するストーリー、全く練り上げられていない演出、あらを探せばゴロゴロ(そして露出もナシ)なのだがどういうわけか滅茶苦茶に面白かった。いやほんとに。

真面目な人が観れば怒り心頭かもしれないがそういう人に毛皮族は向かない。これはつまらなさや陳腐さや微妙なやる気のなさを、斜に構えて楽しむべきショートプレイなのである。やってることはショボくても、毛皮族だからできる、毛皮族だから許されるアイディア賞モノの珍品劇といえよう。最大の持ち味である後に残らない刹那的な笑いの美学はまだまだ健在であった。この瞬間だけ馬鹿馬鹿しく笑っていられればいいのだ。今笑わずにいつ笑う?後のことはその時に考えよう。
高野ゆらこの絶妙な器用さには感心◎。高感度アップ。そして町田マリー(客席で発見したが超美しい!)ヴァージョンも観たくなってきた。