矢野沙織ニューアルバム「Groovin' High」発売記念Groovin' High 全国 Tour with Dizzy Gillespie All Stars(浜離宮朝日ホール)

PERSONNEL:矢野沙織(as)、James Moody(ts/fl)、Slide Humpton(tb)、Randy Brecker(tp)
          今泉正明(p)、上村信(b)、小松伸之(ds)

通産4枚目のアルバム『Groovin' High』の発売を記念した全国ツアーだ。今回はベテラン大御所おじいさんたちを率いていつもよりも大所帯な編成で各地を回っている。アルバムのほうは矢野らしい個性的なフレージングや音色でスタンダード曲を聴きやすくプレイしてくれていてとっつきやすく仕上がっている。築地の朝日新聞本社に直結したピカピカの浜離宮朝日ホール、会場は老若男女幅広い層のファンでいっぱいだった。


反響の強いクラシック用のホールであったものの、まあ期待通りなライブであった。音色に個性がありフレージングは活き活きとしていてなおかつ柔らかなプレイ、素晴らしい。若干二十歳でここまでやってくれるとは嬉しい限りである。4管編成なのでスーパーゲストそれぞれの聴きどころもしっかりあってお得なライブである。特にランディー・ブレッカーの演奏は私が今まで生で聴いたトランペットの中でも最も卓越したプレイであると断言できる。


ただ、矢野はいつまでこういう路線で行くのか、甚だ疑問だ。名のある海外ミュージシャンを呼び物にしてファンを広げようとする試みは間違ってはいないと思うが、非常に力のあるプレイヤーなのだからもう独力でやっていくべきではなかろうか。明らかピークの過ぎ去ったJames MoodyやSlide Humptonよりも、ノリにノって上達しまくっている矢野のプレイをちょっとでも長く聴きたい。同世代でカルテットを組んでジャズクラブで火花を散らす矢野沙織の姿のほうがファンを満足させられるのではなかろうか。

■ 矢野沙織
1、Ba You 2、manteca 3、Over The Rainbow 4、Speak Low 5、Corcovado 6、My Ideal
7、Groovin' High 8、Billie's Bounse


Groovin’High

Groovin’High