陰陽座 全国ツアー2005年冬 龍頭龍尾〜陰陽の巻(新木場 STUDIO COAST)

約1ヶ月間の東名阪+福岡を回るライブツアー、相変わらずウザったいタイトルだナ。まあツアーラストの本日に限っては昔の曲と最近の曲と両方からいろいろやってくれるらしかったので、ちょっと迷ったが参戦してみることにした。昔は頻繁に陰陽座のライブを観ていた私だが、最近は何かと行きそびれ、気づけば1年以上ご無沙汰になっていた。最新アルバム『臥龍點睛』の曲は一度もライブで聴いたことがなかったし、現時点での彼らの力量をチェックして今後の付き合い方・距離の置き方を考えるのにも良い機会というわけであった。
広い広い会場、高いステージ、たくさんの観客、高く積み上げられたマーシャルアンプ、陰陽座もビッグになったものだと入場してみて改めて感心した。開演時刻を10分程過ぎた頃、客電が落ちオープニングSEの‘焔乃鳥’が流れて華やかな和服に身を包んだ5人が登場、記念すべきツアーファイナルのオープニングに相応しい、なにかドキドキなことが始まる予感を助長するトラックのあとに続いたのはもちろん‘鳳翼天翔’だ。黒猫がいつになく絶好調だ。声のノビが素晴らしい。高音部も低音部も技術と個性をを活かし丁寧に歌い回されている。
シーンに登場したときから積み重ねてきた名曲をたて続けに演奏してくれて本当にありがたい。‘百の鬼が夜を行く’、‘’、‘ 窮奇’、聴きたいと思っていた曲ばかり、めいいっぱいの情熱とプロらしい(本当に上手くなったと思う)卓越した技術をフルに発揮して披露してくれた。
陰陽の巻」というタイトルどおり、パワーチューンだけではなくバンドの持つ幅広い側面までキッチリ見せてもらえた。特に凍りつくようなバラード・‘氷の楔’と、大胆な曲展開と奥深い歌詞が売りの‘組曲・黒塚’はやるだろうと予想はしていても実際に聴いてみて魅力を再確認、技量の高さと精神性の深さに唸らざるをえなかった。さらに『臥龍點睛』からの‘甲賀忍法帖’、‘龍の雲を得る如し’、‘ 我が屍を越えてゆけ’はCDで聴いただけでは理解できないライブならではの魂のほとばしりを体感することができ、陰陽座が国内№1HEAVY METALバンドに君臨し続ける所以を思い知ってしまった。
アンコールではこれも聴きたかった大曲‘組曲義経’、‘陰陽師’等、内容ギッシリの文句の付けどころがない抜群の表現を見せてもらえた。

陰陽座

1、焔之鳥〜鳳翼天翔 2、百の鬼が夜を行く 3、朧車 4、煌 5、不知火
6、牛鬼 7、甲賀忍法帖 8、窮奇 9、わいら 10、氷の楔 11、蛍
12、組曲黒塚 13、龍の雲を得る如し 14、蛟龍の巫女 15、靂 16、羅刹
17、我が屍を越えてゆけ

〜encore.1〜
18、組曲義経 19、陰陽師

〜encore.2〜
20、鬼ころし 21、がいながてや

〜encore.3〜
22、悪路王

組曲「義経」~夢魔炎上

組曲「義経」~夢魔炎上



やってることはもうパーフェクト、会場も大盛りあがり、なのに私は心から楽しむことができなかった、というのが本音だ。しょうがないのか。メタルの欠点というべきか、大げさな曲ほど飽きやすく、同じような曲を延々繰り返し続けられて少々ツラい場面があった。完璧なショウの隙間から、だいたいこの辺りがバンドの限界、、、という「伸びしろの無さ」も垣間見えた。ここ2〜3年の陰陽座は過去の焼き直しのような曲が多いのも事実だ。スピーディーでパワフルな曲、ドロっとしたヘヴィチューン、しっとりした黒猫バラード、起承転結に富む大曲、、、幅広さが自慢な故に無意識的に自分で作ってしまった曲の枠組みから飛び出す力までは持ちあわせていないのだろうか…。
エグいはずのギターフレーズは時を経るにつれマンネリ化し、歌及び歌詞と曲展開で楽曲をリードする手法以外に手持ちカードが無いのはロックバンドとして欠点といえまいか。
今後は適当な距離を置いて1〜2年に1回見られればいいかな。