Keith Jarrett SOLO 2005(東京芸術劇場)

説明不要・泣く子も黙るジャズピアノの大御所キース・ジャレットがソロで来日した。そして今日は日本ツアー初日、池袋駅前の東京芸術劇場、チケットは当然完売、場内は満席、広いステージの中央にグランドピアノが1台置かれていた。

どういう展開でライブが進展していくのか?聴いている者も弾いている側も先の読めない完全即興によるプレイ。いかにもキース・ジャレットなひっそりとした、しかし内面からの魂・情念がグツグツ沸き出ずるスリリングさがたまらなかった。私は息を止めて彼から発せられる音のひとつひとつにじっくりと耳を傾け、可能な限りその音から読み取れるメッセージを読み取ることに思わず必死になってしまった。
様々なコードプレイを多用したブルージーな曲、悲しげだがどこかしら確固ななにかが感じられるメロディがたて続けに表現されるバラード、不思議な音階と高音部の速弾きをミックスさせた幻想的な曲、どれをとっても彼にしか出来ない独特な世界観がいかんなく表現されていて、なぜ彼が昔からここまで多大に評価され聴く者の心を魅了してきたのかを改めて認識した。何度もアンコールに応えてくれた彼の心の広さにも感謝せざるをえなかった。



咳、鼻をすする音、携帯電話の着信音、鞄を落とす音、タイミングの悪い拍手、、、音楽を聴く会場で行われる行為とは思えないことが繰り返し行われ、せっかくの名演が台無しになった。キースは怒っていた。頭を抱えていた。ライブ会場や映画館などで携帯電話の着信音を鳴らす者は強制的につまみ出される制度があってもよいのではないか。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。今後このようなことがないように…。